ボロネーゼのルーツは、北イタリアのエミリア=ロマーニャ州の州都ボローニャにあります。「美食の都(ラ・グラッサ=太っちょの街)」と称されるボローニャでは、中世より豊かな農畜産物を背景に贅沢な煮込み料理が発展しました。
現地で語り継がれる歴史において重要な転換点となったのが、1982年10月17日です。イタリア料理アカデミー(Accademia Italiana della Cucina)ボローニャ支部が、古くからの伝統とレシピが乱立して変質することを防ぐため、ボローニャ商工会議所に「正式なラグー・アッラ・ボロネーゼの公認レシピ」を公証人立ち会いのもとで正式登録しました。
この公式調書に記された基本具材は極めてシンプルです。
- 粗挽きの牛ハラミ肉(カルテッラと呼ばれる部位)
- パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)
- 香味野菜(タマネギ、セロリ、ニンジン=ソフリット)
- 辛口の白ワインまたは赤ワイン
- 濃縮トマトペースト(あるいはトマトピューレ)
- 牛乳、ブロード(肉のスープ)、塩、黒コショウ
このように、伝統的な定義におけるボロネーゼは、大量のトマトソースで煮込むものではなく、素材の水分と肉汁、少量のワインと乳製品で肉をしっとりと煮詰める料理であることが明確に規定されています。