首の後ろに手を触れた際、「あれ、何だか硬いコブのようなものがある」と気付き、パニックになるケースは少なくありません。SNSの投稿や知恵袋の相談でも「ぼんのくぼにしこりができて怖い」という声が頻繁に上がっていますが、しこりの正体には複数の明確な鑑別候補があります。
最も多いのは、「後頭部リンパ節の腫脹」です。後頭部の皮膚や頭皮、あるいは喉や耳の周辺に細菌・ウイルスが侵入すると、免疫防御反応としてリンパ節が腫れ上がります。風邪の引き始め、虫刺され、ニキビの化膿などが原因で、小豆大から大豆大の弾力があるしこりが生じ、触れると痛みを感じることが特徴です。感染症が治まれば数日から1〜2週間で自然に縮小していきます。
次に考えられるのが、「粉瘤(アテローム)」や「脂肪腫」といった良性腫瘍です。粉瘤は皮膚の下に袋状の組織ができ、皮脂や角質が溜まることで徐々に巨大化します。中央に小さな黒い開口部が見られることが多く、細菌感染を起こすと赤く腫れて激痛を伴います。一方、脂肪腫は柔らかいゴムのような感触で、通常は痛みを伴いません。
意外な盲点として挙げられるのが、「筋硬結(トリガーポイント)」です。筋肉の一部が過度な緊張によって米粒大からアーモンド大の硬いコリとなり、触れるとしこりのように錯覚する現象です。
では、どのような症状が出たら病院へ行くべきなのでしょうか。受診科の判断基準は以下の通りです。
触れて痛むしこりや発熱を伴う場合は耳鼻咽喉科または内科、皮膚の表面が赤く腫れていたり中央に黒点があったりする場合は皮膚科や形成外科が適しています。そして、「痛みが全くなく、岩のように硬くて皮膚の下で動かない」「2週間以上経過してもサイズが急速に大きくなっている」という場合は、悪性リンパ腫などの重大な疾患を否定できないため、躊躇せず総合内科や血液内科、頭頸部外科を受診してください。