20世紀初頭、ドイツで誕生した造形学校バウハウス(Bauhaus)は、正方形や円、三角形といった基本形体をデザインの根幹に据えました。モダニズムデザインの開拓者たちは、装飾を排した幾何学的で機能的な美を追求し、正方形フォーマットをポスターやグラフィックに積極的に取り入れました。その理念は、その後のスイス・スタイル(国際タイポグラフィ様式)へと受け継がれ、厳密なグリッドシステムに基づくレイアウトの礎となります。
アナログのポスターやジャケットデザインで愛された正方形は、デジタル時代の到来とともに爆発的な再評価を果たします。2010年に登場したInstagramが投稿フォーマットとして1:1の正方形を採用したことは、デジタル文化史における決定的な転換点でした。正方形はかつてのレトロな中判カメラ(ポラロイドやハッセルブラッド)のノスタルジーを纏いつつ、スマートフォン画面に最適化された究極のコンテンツ容器として再定義されたのです。