伯方の塩はどこの塩?実は国産じゃない真相と原料・販売店を徹底解剖の背景について、最新情報を基に徹底解説します。

なぜ伯方の塩は、わざわざ海を越えてメキシコやオーストラリアの塩を原料に選んだのでしょうか。その答えは、昭和40年代に起きた日本の塩行政の大転換に遡ります。

1971年、国は「塩業近代化臨時措置法」を施行しました。これにより、日本の伝統的な流下式塩田を含むすべての塩田が全面的に廃止され、化学的な手法である「イオン交換膜製法」による高純度な塩化ナトリウム(精製塩)の一元供給へと国策が舵を切ったのです。当時、海水から直接塩を作る自由は法律によって厳しく制限され、従来の塩田で採れていたミネラル豊富な塩は市場から姿を消す危機に瀕しました。

「塩田の塩のような、自然な旨みとミネラルを含んだ塩を食べたい」という消費者運動が全国で沸き起こり、愛媛県の伯方島でも塩田復活を求める約5万人の署名が集まりました。しかし、国内の海水から直接製塩することは法的に許されません。そこで創業者たちが編み出した苦肉の策であり画期的な打開策が、「輸入が認められていた海外の良質な天日塩田塩を日本の海水で溶かし、再結晶させる」という手法でした。

メキシコ・ゲレロネグロやオーストラリアの塩田は、世界自然遺産や清浄な海洋環境に隣接し、汚染のない高品質な塩が得られる場所として厳選されました。法律の制約に縛られながらも、安全で美味しい塩を届けたいという情熱から生まれた仕組みが、今なお受け継がれている理由です。