博多駅周辺の酒場事情を読み解く鍵は、東西を分かつ二つの出口の性格差にある。博多口と筑紫口。この二大エリアには、それぞれ全く異なる酒場のエコシステムが息づいている。
オフィスビルやホテルが林立する博多口側は、住吉や祇園方面へと続く路地裏に注目したい。メインストリートから一本入れば、古民家を改装した小料理屋や、朝獲れの玄界灘の鮮魚を信じられない破格値で出す大衆酒場がひっそりと佇む。山盛りのキャベツに酢醤油をかけ、カリカリに焼き上げた鶏皮串を何十本も平らげる地元客の熱気。そこには観光客向けの割高な価格設定とは無縁の、純度の高い酒場文化が残されている。
一方の新幹線側、筑紫口エリアは音羽交差点方面の路地に「呑兵衛の聖地」が密集する。出張帰りのサラリーマンが新幹線の発車時刻ギリギリまで粘る立ち飲み処や、創業半世紀を超える焼き鳥の老舗。席間が狭く肩が触れ合う距離感だからこそ生まれる見知らぬ客同士の一体感は、この裏ルートならではの醍醐味だ。