博多の朝は早い。午前7時を過ぎると、新幹線の改札口付近には慌ただしく人が流れる。だが、少し視線を外せば、静寂の中で上質な浅煎りコーヒーを啜れる空間が潜んでいる。朝のラッシュがピークを迎える午前8時前後、駅直結の地下通路やビル上層部にある一部の店舗は、驚くほど静やかだ。
焼き立てのトーストから漂い出る香ばしいバターの香り。早朝限定の朝食セットを提供するカフェでは、地元の常連客が新聞を広げ、旅行者が静かに旅路の計画を練る。慌ただしい通勤ラッシュを横目に過ごすこの数十分間こそ、知る人ぞ知る至福の時間といえる。混雑を避けるなら、開店直後の15分間か、一巡目の客が立ち去る午前9時手前のエアポケットを狙うのが鉄則だ。