一護がなぜ死神でありながら虚の力を行使できたのか。その直接的な原因は、物語序盤の浦原喜助による「絶望の底(シャッタード・シャフト)」での特訓ではなく、彼の出生そのものに刻まれていました。
かつて現世にて、藍染惣右介が死神の魂魄をベースに造り出した実験体・人造虚「ホワイト」が存在しました。黒く引き締まった体に両腕の刃を持つホワイトは、当時純血統の滅却師(クインシー)だった黒崎真咲を襲撃し、彼女の肉体に傷を負わせます。このとき、ホワイトの魂魄が真咲の内部に入り込み、「虚化」の毒素が彼女の命を脅かす事態となりました。
真咲を救うため、元十番隊隊長であった志波一心(後の黒崎一心)は、浦原喜助が用意した特殊な義骸に入り、自らの死神の力を全て捧げて真咲体内の虚を抑え込む道を選びます。やがて一心と真咲の間に長男として生まれた一護へと、抑え込まれていたホワイトの因子が受け継がれ、一護の魂魄の深淵に「内なる虚」として定着することとなりました。