学名「Nipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)」を冠するトキは、文化史的にも深い意味を持つ特別天然記念物だ。しかし、その生態には意外な秘密が多く隠されている。最も有名なのが、季節によって羽の色が変化する保護色メカニズムだ。
繁殖期を迎える冬から春にかけて、トキは首のあたりの皮膚から黒い粉末状の物質を分泌する。これを自分で羽にこすりつけることで、全体がシックな黒灰色に変色するのだ。巣の中での目立ちにくさを追求した、生存のための擬態技術である。一方、非繁殖期には本来の白と薄桃色の優美な姿へと戻る。このような生態の不思議を間近で観察できる体験は、訪れる人々に生き物の適応力の凄まじさを強く印象づける。