2026年の冬、諏訪湖畔に立つ風は肌を刺すように冷たい。だが、湖面に広がるのは一面の氷床ではなく、揺れる水面だ。近年、地球規模の気候変動が進行するなかで、御神渡りが発生しない「明けの海」と呼ばれる年が急速に増えている。
気象庁が提示する長期的な寒冷データを見ても、冬場の平均気温の上昇傾向は明白だ。湖面が全面氷結するためには、マイナス10度を下回る厳しい冷え込みが何日も続く必要がある。しかし、暖冬が定着しつつある現在、氷の厚みが足りずに隆起に至らないケースが目立っている。単なる珍しい自然現象の消失ではなく、数百年続いてきた季節の指標が崩れ去ろうとしているのだ。