氷川きよしが自らのジェンダーレスなアイデンティティを公に語り始めたのは、2019年のことでした。雑誌のインタビューなどで、幼少期から「男の子っぽくしなさい」と言われ続けることに強い違和感を抱いていた過去や、世間が求める「男らしい演歌歌手・氷川きよし」を演じ続けることへの限界を率直に告白しています。
カミングアウトを決意した最大の理由は、「40代を迎えて、残りの人生を自分らしく生きたい」という強い覚悟にありました。2000年のデビュー以来、ファンの期待に応えようとストイックに走り続けてきたものの、心の中では「本当の自分」を隠し続けることへの苦悩が限界に達していたと明かしています。
氷川きよしの性別に対するスタンスは、男や女という二元論の枠組みを超えた「ひとりの人間」としての生き方そのものです。生き方についてのインタビューでは「男らしくとか女らしくではなく、自分らしく、人間・氷川きよしとして輝きたい」と語っており、その言葉通り、形式的な性別規定にとらわれない自由な表現へとシフトしていきました。