氷川きよしがスカートやドレスを身に纏うようになった背景には、単なるファッションの奇抜さを狙ったものではなく、「本来の自分らしさを解放する」という強い意志が存在します。
2000年に『箱根八里の半次郎』でデビューして以来、演歌界のホープとして熱烈な支持を集めてきました。しかし、求められる「爽やかな好青年」「演歌のプリンス」というパブリックイメージと、本人が抱く内面との乖離は年々深まっていったといいます。インタビューでも「男らしく生きてほしいと言われるたびに、本当の自分とのギャップに苦しんでいた」と赤裸々に吐露していました。
40代を迎え、「残りの人生は誰かの期待ではなく、自分自身の心に嘘をつかずに生きたい」と決断。性別の境界線を取り払い、美しいと感じるものを素直に表現する手段として選ばれたのが、スカートやドレスを取り入れたジェンダーレスなスタイルでした。型にはまったジェンダー規範から解き放たれたその姿は、多くの人々に強烈なインパクトとともに深い勇気を与えています。