ビーナスラインを計画する上で絶対に知っておかなければならないのが、広範囲に及ぶビーナスライン冬期閉鎖理由と期間の取り決めです。毎年、紅葉シーズンが終わる11月下旬から翌年4月下旬にかけて、ルートの大部分がゲートによって完全に物理閉鎖されます。
例年の規制スケジュールにおける一般的な閉鎖区間は次の通りです。
- 区間A(八島湿原〜和田峠〜扉峠〜落合〜美ヶ原高原美術館):11月下旬(例年11月20日前後)から翌年4月下旬(例年4月20日前後)まで全面通行止め。
- 区間B(富士見台〜八島湿原):降雪状況に応じて11月下旬〜12月上旬頃に順次閉鎖。
- 通年通行可能区間:茅野市街から白樺湖、車山高原を経て霧ヶ峰(強清水)に至るルート、および霧ヶ峰から諏訪市街へ下る県道40号線は、スキー場や生活道路としての側面を持つため、原則として除雪が行われ通年通行が維持されます。
「観光道路であるならば、なぜ巨額の費用を投じて通年除雪を行わないのか」という疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし閉鎖される区間、特に和田峠から美ヶ原高原へ至る長野県道194号線や県道460号線は、急峻な断崖絶壁を縫うように走っており、強風による吹きだまりや雪崩の危険が極めて高い地形です。マイナス15度を下回る過酷なブリザード下での除雪作業は人的・物理的リスクが過大であり、安全確保の観点から閉鎖措置が講じられています。
閉鎖解除となる4月下旬には、地元メディア等でビーナスライン通行止め最新ニュースが一斉に報じられ、「雪の回廊」を求めて観光客が押し寄せます。しかし開通直後は除雪された雪壁が日中に溶け出し、夕方以降に路面で再凍結するリスクが最も高まる魔の時間帯です。美ヶ原方面へ抜けられない場合の迂回ルート(国道142号線新和田トンネル経由や、上田市側からのアクセス)をあらかじめ頭に入れてルート設計を行うことが鉄則です。