兼重父子の辞任を受け、混乱の極みにあった現場の引き継ぎを担ったのが専務から社長へと昇格した和泉伸二氏であった。同氏は創業家の悪弊を断ち切るべく頭を下げ、信頼回復への第一歩として組織改革をアピールしたものの、旧体制の渦中にいた人物としての限界も指摘されていた。
その後、伊藤忠グループ主導による買収手続きが進むにつれ、旧ビッグモーターの経営権は完全に剥奪された。WECARSの発足に伴い、経営陣には外部から招聘されたコンプライアンスのプロや金融機関出身者などの透明性の高い人事が出揃い、旧経営陣の残党は組織から一掃されることとなった。旧会社の資産と事業を分離し、過去の違法行為に対する賠償責任のみを精算会社に残す手法によって、事業の存続と責任の明確化が図られたのである。