わずか3日間で閉鎖へと追い込まれた2019年の展示。その決定を巡り、内部では凄絶な葛藤が繰り広げられていた。ジャーナリストの津田大介氏が芸術監督を務め、愛知県の大村秀章知事が実行委員長として指揮をとった「あいちトリエンナーレ実行委員会」は、安全管理の限界と政治家からの露骨な圧力という二重の困難に直面した。
ガソリン携行缶を想起させる脅迫ファクスや、業務を麻痺させる電話の殺到。これらは単なる抗議の域を超え、展示会場の物理的セキュリティを直撃した。一方で、政治家による公然たる批判が行政への圧力を強め、表現の現場を萎縮させる引き金となった。当時の緊迫した意思決定プロセスを取材すると、脅迫という暴力に対して毅然と抗しきれなかった行政組織の脆さが浮かび上がる。