神宮前エリアの路地に静かに佇む「とんかつ 七井戸」は、肉好きの間で別格の存在として語り継がれている。名店「焼鳥 今井」などを手掛けてきた店主・小島晃氏が揚げ場に立ち、炭火焼きで培った圧倒的な火のコントロールをとんかつという料理に落とし込んでいる。
目の前に供されるとんかつは、淡い黄金色の衣を纏い、肉断面はほんのり桜色に染まる。ひと噛みすれば、サクッという軽快な音の直後に、肉繊維の隙間から濃厚な旨味が溢れ出す。素材の水分を逃さず、余熱を計算し尽くした小島氏の緻密な手仕事は、訪れる者の胃袋を瞬時に掴んで離さない。