生物学における変態は、幼生から成体へと成長する過程で、単なる身体のスケールアップにとどまらず、体の構造や生活様式が根本から再構築される現象を指します。代表的な例が昆虫やカエルなどの両生類です。
昆虫の変態プロセスは、大きく以下の2種類に大別されます。
1. 完全変態(卵 → 幼虫 → 蛹 → 成虫)
カブトムシ、チョウ、ハチ、ハエなどが該当します。最大の特徴は「蛹(さなぎ)」のステージが存在することです。蛹の内部では、幼虫時代の組織が一度ドロドロに融解(組織融解)され、成虫原基(イマジナル・ディスク)と呼ばれる細胞群をもとに、羽や生殖器といった成虫の器官がゼロから再構築されます。幼虫と成虫で食べる餌や生息空間が完全に異なるため、親子間での食料競合を回避できるという強力な生存戦略です。
2. 不完全変態(卵 → 幼虫/若虫 → 成虫)
バッタ、セミ、カマキリ、トンボなどが該当します。蛹の段階を経ず、複数回の脱皮を繰り返しながら徐々に羽を伸ばし、大人の姿へと近づいていきます。
また、両生類のカエルもオタマジャクシ(水中・エラ呼吸・尾で遊泳)から、不要になった尾の細胞がアポトーシス(プログラムされた細胞死)によって縮小し、肺呼吸と四肢を備えた陸上生活の成体へと劇的なトランスフォームを遂げます。