「オンライン会議では普通に話せていたのに、対面の会議室に入った途端、自分の声が周囲に届かない」。こうした戸惑いの声が、都内のコワーキングスペースやオフィス街で頻繁に聞かれるようになった。PCのマイクは優秀で、小さな声でも自動で音量を増幅してくれていた。しかし、生身の人間が対峙する空間では、そうはいかない。物理的な空気の振動が必要だからだ。
耳鼻咽喉科の医師らは、この現象を「社会的失声」の初期段階と警鐘を鳴らす。人と直接会って話す機会が激減した数年間で、私たちの喉の筋肉(声帯内筋や閉鎖筋)は、想像以上に痩せ細ってしまったのだ。使わなければ衰えるのは、足腰の筋肉も喉の筋肉も同じである。