ベトナムの都市部において、夜の時間は単なる休止期ではない。むしろ昼間の酷暑を避けた人々が集う、第二の活動時間帯だ。歩道に並べられた小さなプラスチック製の椅子には、大声で笑い合う若い女性たちの姿が目立つ。彼女たちは友人とお茶を楽しみ、最新の流行について語り合う。そこには東南アジア屈指の治安の良さを反映した、伸びやかな日常が存在する。
だが、光があれば影もある。
観光地として賑わうエリアのすぐ隣にある暗い路地では、犯罪のリスクが潜む。とりわけ、バイクを使ったひったくりは一瞬の隙を狙って発生する。歩道側であっても、スマートフォンを手にして無防備に立っている女性は絶好の標的だ。夜の開放的な雰囲気に呑まれると、予期せぬトラブルに巻き込まれる危険性が一気に高まる。