ベントオーバーロウを行っても背中に明確なパンプや筋肉痛が得られない場合、動作の初期段階でエラーが発生しています。最も頻繁に見られるエラーは、バーベルやダンベルを「手や腕の力で持ち上げている」ケースです。上腕二頭筋や前腕屈筋群が主働筋となってしまい、背中の筋肉である広背筋や僧帽筋、菱形筋の動員率が著しく低下してしまいます。
背中の筋肉を主働させるためには、「手で引く」のではなく「肘を後方へリードしながら肩甲骨を寄せる・下げる」という意識の転換が必要です。筋電図(EMG)を用いた動作解析データによれば、前腕の握力を使いすぎているトレーニーは、パワーグリップやリストストラップを活用して握力の関与を20〜30%低減させるだけで、広背筋の活動電位が約1.4倍に跳ね上がることが確認されています。
さらに、肩甲骨のポジショニングも極めて重要な要素です。引き始めから肩をすくめてしまう(肩甲骨挙上)と、負荷が僧帽筋上部や首周辺へ逃げてしまいます。バーを引く際は、胸を軽く張りつつ肩甲骨を引き下げる(下制)動作を先行させ、その後に肘を背中側へ引き込む運動連鎖を徹底しなければなりません。