カツオの食文化を語る上で、発祥の地である高知県(自治体)を抜きにすることはできない。幕末の志士・坂本龍馬も愛したとされるこの地の食文化は、独自の発展を遂げてきた。農林水産省が選定する「郷土料理百選」にも堂々と名を連ねる土佐料理の主役、それが「藁焼き鰹たたき」である。
一気に800度を超える藁の強火で表面だけを瞬時に焼き上げ、中は冷たいままのレアに仕上げる。この強烈な温度差が生む香ばしさと滑らかな舌触りこそが真骨頂だ。そして、本場で最も愛されているのが「塩たたき」というスタイルである。焼き立ての温かい身に粗塩を振り、手のひらや包丁の腹で軽く叩いて味を馴染ませる。ポン酢で身を締めず、純粋な脂の甘みと赤身のコクをダイレクトに味わうこの食べ方は、一度体験すると戻れなくなる魔力を持っている。