一方で、インターネットの掲示板やSNSでは「食べた後に激しい胸焼けに襲われた」「年齢とともに背脂が受け付けなくなった」といった声もしばしば散見されます。背脂醤油ラーメンによる胃もたれの原因は、単に加齢や脂の総量だけではありません。最大の要因は「脂の鮮度と酸化」および「下処理の手間」にあります。
低価格を追求する一部の店舗や管理が不十分な現場では、使い回された古い油や、下茹でによる余分な臭み抜きを怠った粗悪な脂が使われるケースがあります。脂質は空気に触れて加熱され続けると酸化脂肪酸へと変化し、これが胃粘膜を直接刺激して消化器官に過剰な負荷をかけます。また、ラード(精製された豚脂)を過剰に人工添加してかさ増ししたスープは、体温で分解されにくく、胃内で停滞する時間が長引くため、深刻な膨満感を引き起こすのです。
正統派の名店が提供する背脂は、数時間かけて丁寧に灰汁(アク)と余分な脂を抜き、雑味を削ぎ落とした後に網で濾(こ)されています。良質なコラーゲンとゼラチン質を含んだピュアな背脂であれば、適量を摂取する限り胃壁を優しく保護し、消化酵素による分解もスムーズに行われます。「背脂=すべて胃にもたれる悪玉」という認識は、粗悪な調理工程が生み出した誤解に過ぎません。