なぜこれほどまでに豊かな漁場が形成され、同時に激しい環境変化に晒されているのか。その鍵を握るのが、湾の南西部にそびえる有珠山だ。有珠山は過去数百年間にわたり幾度も大噴火を繰り返してきた活火山であり、その地熱活動は陸上だけでなく海底深くにも及んでいる。
海洋生態学・地質学の融合研究によって判明したのは、火山性の微量元素やケイ素が、河川を通じて湾内に供給されるプロセスだ。陸上の火山灰土壌に含まれる豊かなミネラルが、海中の植物プランクトンを飛躍的に増殖させる。つまり、火山の脅威と海の恵みは、表裏一体の地質学的メカニズムによって結ばれている。