かつて北國銀行の本店は、金沢市の伝統的な商業中心地である香林坊・下堤町エリアに構えられていました。現在の金沢駅西口(広岡)への全面移転が完了したのは2014年11月のこと。この移転劇の裏には、単なる老朽化対策にとどまらない強固な経営戦略が存在します。
公式発表や当時の事業計画資料によると、最大の移転理由は「BCP(事業継続計画)の抜本的強化」と「北陸新幹線金沢開業を見据えた都市機能の再編」でした。旧本店周辺は歴史的町並みが残る一方、災害時の避難経路や大型車両の動線、高度な免震構造を施したITデータセンターの構築に物理的制約を抱えていました。
新本店ビルは最高水準の免震システムを備え、自家発電装置によって大規模災害時でも金融インフラを止めない堅牢な要塞として設計されました。同時に、行員が固定席を持たないフリーアドレス制やペーパーレス環境をいち早く導入し、勘定系システムをパブリッククラウドへ全面移行する土台を完成させたのです。この強固なインフラがあったからこそ、現在の「脱・現金」「キャッシュレス店舗」という先進的なビジネスモデルが結実しました。