北大路欣也の背骨には、常に父・市川右太衛門の存在がある。時代劇の黄金期を築き上げた大スターの血を受け継ぎ、東映京都撮影所で幼少期から培った美意識とストイックさは、80代を迎えた今も微塵も揺らいでいない。
殺陣の足さばき、着物の着こなし、腹の底から響く発声。かつて父が見せた圧倒的な威厳を、彼は自らの肉体を通して現代に受け継いでいる。また、日本俳優連合などで長年業界の後進育成や環境改善に心を砕いてきた背景にも、表現者としての強い責任感が宿る。
住環境を整えたのは、表現者として死ぬまでカメラの前に立ち続けるための「攻めの選択」だった。父から託された銀幕の矜持を守り抜くため、自らの肉体と精神を最高の状態に保ち続ける基盤が、現在の住まいなのだ。