北朝鮮における給食の格差は、単なる都市と地方の経済格差にとどまらず、国家の統治構造そのものに起因しています。北朝鮮には「出身成分(ソンブン)」と呼ばれる厳格な身分制度が存在し、体制への忠誠度が高い特権階級が集まる平壌市民への食糧供給が最優先される仕組みが定着しています。
地方都市や農村部では、国による食糧配給網(PDS)が形骸化して久しく、学校運営費や給食の原材料費は各地方自治体や各学校の「自活」に丸投げされています。結果として、財政基盤のない咸鏡北道(ハムギョンプクト)や両江道(リャンガンド)などの山間部では、給食設備そのものが埃を被ったまま放置されているケースが珍しくありません。
さらに、国内の深刻な燃料不足と劣悪な物流インフラがこの格差を決定的なものにしています。たとえ首都に海外からの支援物資や穀物が到着しても、それを地方の学校まで定時輸送するトラックや軽油が圧倒的に不足しており、平壌と地方の格差は構造的に固定化されているのです。