緊急脱出用として頼もしい押しがけですが、常用すべきではない明確なデメリットとメカニカルリスクが存在します。
第一のリスクは「未燃焼ガスによる触媒(キャタライザー)の破損」です。押しがけが1回でスパッと決まらず、何度もクランクを空回しさせると、燃えなかった生ガスが排気管へと送り出されます。その後エンジンが着火した際、マフラー内の高温になった触媒部分で生ガスが異常燃焼を起こし、高価な触媒を熱で溶損・劣化させる原因になります。
第二に、「駆動系への強い衝撃負荷」が挙げられます。停止または低速回転しているエンジンをタイヤ側から無理やり急加速させるため、クラッチ板、トランスミッションのギア、ドライブチェーン、タイミングベルトやチェーンに対して瞬間的に過大なバックラッシュ(逆トルク)がかかります。特に年式の古い旧車や走行距離の多い車両では、タイミングベルト飛びやチェーン破断などの致命的なトラブルを誘発しかねません。