押しがけとは、セルモーター(スターター)の代わりに車両を押してタイヤを回転させ、その回転力を駆動系経由でエンジン(クランクシャフト)に伝えて強制的に始動させる緊急手段です。通常はバッテリーの電力でセルモーターを回し、ピストンを動かして点火・爆発サイクルを起こしますが、電力が不足している状況下でも外部からの運動エネルギーでピストンを上下させることができれば、エンジン自体の自己燃焼サイクルを呼び起こせます。
ただし、この手法が万能だったのはアナログ機構中心のキャブレター車が主流だった時代です。電子制御が進んだ2026年現在の車両では、エンジンの点火だけでなく燃料供給やバルブタイミング制御まで電気に依存しているため、押しがけが通用するシチュエーションは限定的になりつつあります。まずは基本原理を理解した上で、愛車の仕様に合わせた適切なアクションを取ることが求められます。