生活習慣の中で、治療の成否を決定づけると言っても過言ではないのがタバコ(喫煙)の完全な排除です。喫煙はバセドウ病の代表的な合併症である「バセドウ病眼症(甲状腺眼症)」の最大の発症・悪化因子として医学界で確立されています。
タバコに含まれる有害物質は眼窩(目の奥)の組織に低酸素状態と炎症を引き起こし、自己抗体の標的となる線維芽細胞や脂肪組織を刺激して腫れ上がらせます。喫煙者の眼症発症リスクは非喫煙者の約4倍から8倍に跳ね上がり、治療薬(ステロイドパルス療法や放射線治療)の奏効率も著しく低下します。眼球突出、強い充血、物が二重に見える複視、最悪の場合は視神経圧迫による視力障害へと発展するため、紙巻きタバコだけでなく加熱式タバコを含めた即時禁煙と受動喫煙の回避が必須です。
また、アルコールや高濃度カフェインの過剰摂取にも厳重な注意が必要です。甲状腺ホルモン高値の時期にエナジードリンクや濃いコーヒー、大量の飲酒を行うと、交感神経が強く刺激されて激しい動悸や期外収縮、血圧急上昇を誘発します。不眠や脱水を招き、疲弊した身体をさらに追い込む要因となるため、数値が安定するまではカフェインレス飲料や十分な水分補給を心がけてください。