暴かれる沈黙と倫理:アルフレッド・ジャーが変えた現代美術の地平

暴かれる沈黙と倫理:アルフレッド・ジャーが変えた現代美術の地平

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1994年、わずか100日余りで約100万人が命を奪われたルワンダ虐殺。国際社会がその惨劇を傍観する中、ジャーは現地へ飛び、自らのカメラで数千枚のフィルムを回した。しかし帰国した彼を襲ったのは、「悲惨な写真を公開しても、世界はそれを消費して終わるだけではないか」という深い絶望だった。この苦悩から生まれたのが、6年間に及ぶ『ルワンダ・プロジェクト』である。

その極点とも言える傑作インスタレーションアートが、2006年に発表された『サウンド・オブ・サイレンス』だ。鑑賞者は密閉された暗黒のシアターへと足を踏み入れる。壁面に冷徹なテキストが流れ、スーダン飢餓を取材してピュリツァー賞を受賞した写真家ケビン・カーターの苦悩と死が淡々と綴られる。そして一瞬だけ炸裂するストロボの閃光。そこには飢えた少女とハゲワシを捉えたあまりにも有名な写真が一瞬だけ刻まれ、鑑賞者は猛烈な残像とともに闇の中へ放り出される。見るという行為の残酷さとメディアの罪を、身体全体で引き受けさせる驚異的な構成である。

中村 さくら
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中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。