三木武吉の人間味と胆力を象徴するエピソードとして、今なお語り草となっているのが選挙演説での女性スキャンダルへの切り返しだ。対立候補から「三木には愛人が3人いる」と暴露された際、登壇した三木は逃げるどころか堂々とマイクを握った。
「3人ではない、正確には4人だ。しかも私は彼女たちを現在も見捨てず、生活の面倒をしっかり見ている」
開き直りとも取れるこの一言に、詰めかけた聴衆は呆気にとられた後、割れんばかりの拍手を送ったという。急所を突かれた瞬間にユーモアと絶対的な責任感で包み隠さず受け止める器量。小手先の弁明に終始する現代の政治家には決して真似できない、怪物の面目躍如たる瞬間だった。