騒動の引き金となったのは、2017年9月28日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP』でした。番組の節目を祝う目玉企画として、往年の名物キャラクターたちが次々と復活。そのメイン格として、石橋貴明さん扮する「保毛尾田保毛男」が約30年ぶりに登場しました。
相方の木梨憲武さんやゲスト出演者との掛け合いの中で、かつて一世を風靡した「ホモでなくて、あくまでも噂で…」「いやだなぁ、もう」といったおなじみのセリフや過剰な仕草が再現されました。スタジオ内はノスタルジーと笑いに包まれていたものの、電波を通じて全国へ届けられたその演出は、昭和・平成初期とはまったく異なる社会的文脈の中で受け止められることになります。
放送中からSNS上では疑問や不快感を示す投稿が相次ぎ、放送翌日には特定非営利活動法人(NPO法人)をはじめとする複数のLGBTQ+支援団体がフジテレビに対して連名で抗議声明を提出する事態へと発展しました。抗議の骨子は、「同性愛者を嘲笑の対象として記号化し、学校や職場におけるいじめや差別の口実を与えてきた象徴的な演出を、人権意識が高まった2010年代後半に無批判で再生産した」という点にありました。