「ゴミとして焼却炉で燃やすのではなく、リサイクルできないのか」という環境意識の高い消費者の声に応える動きも、少しずつ広がりを見せています。大手の生活雑貨店(無印良品の一部店舗など)や地域の生活協同組合、オーガニックスーパーでは、余剰となった保冷剤を回収するボックスを設置する実証実験が行われてきました。
回収された保冷剤は、専門の洗浄・消毒工場へ運ばれ、破損がないか光学センサー等で検査された後、冷凍食品の配送用資材としてリユースされます。しかし、このリサイクルスキームには厳しい受け入れ基準が存在します。回収対象となるのは、破れや破損がなく、清潔に保管されていた未開封のソフト保冷剤に限られます。油汚れが付着していたり、一度開封して再利用したジェル、マジックで文字を書いたものは再資源化ラインに乗せられず、結果として廃棄処分に回されてしまいます。
近隣に保冷剤の回収ステーションがない一般家庭においては、パックを切り開いてリサイクルを試みようとする行為自体が、ポリマーの飛散や下水詰まりのリスクを孕む最も危険な行動です。リサイクルボックスを利用できない環境であれば、「パックを開封せず、未開封のまま袋ごと指定のゴミ袋に入れる」ことこそが、環境負荷と住宅トラブルを最小限に抑える現実的な最適解となります。