紙のスコアからタブレット端末へと移行するなかで、実際のスタジオ練習やライブハウスの現場では何が起きているのでしょうか。都内のリハーサルスタジオで働く現役エンジニアや、SNS・5ちゃんねる(旧2ch)の楽器専門スレッド、Yahoo!知恵袋に寄せられたプレイヤーたちの生の声を検証すると、電子楽譜アプリの評判には明確な「光と影」が存在することがわかります。
まず肯定的な意見として圧倒的なのが、「重さ数キロにおよぶ分厚いスコアブックを何冊もスタジオに持ち運ぶ苦行から解放された」「製本された紙のバンドスコアは譜面台に置くと勝手にページが閉じてしまうため、洗濯バサミや文鎮で押さえる必要があったが、タブレットならそのストレスがゼロになる」という点です。特にBluetooth接続のフットペダル(足元のスイッチ)を使って、ギターやベースを弾きながらハンズフリーで譜めくりを行うスタイルは、2026年のスタジオ現場ではすっかり日常の光景となりました。
一方で、長年の現場経験を持つベテランミュージシャンからは、切実な失敗談や警告も多く語られています。ある著名なロックギタリストは音楽専門誌の特別インタビューの中で、自身の修業時代を振り返りながらこう告白しています。
「高校生の頃、なけなしの小遣いで買ったシンコーのバンドスコアを、ページの角が擦り切れてテープで補強するまで毎日めくり続けた。でも、いざプロの現場に入って本人と対バンした時、スコアには『3弦7フレット』と書いてあったフレーズを、本人は『4弦12フレット』のハイポジションで全く違うニュアンスで弾いているのを目の当たりにして衝撃を受けたんだ。スコアは絶対の聖書じゃなくて、あくまで『音の入り口』なんだと思い知らされた瞬間だった」
さらに、電子楽譜アプリ特有の実務的なトラブルも無視できません。バンドスコアは1ページに全パートが詰め込まれているため、1曲あたりのページ数が「12ページ〜18ページ」にも及びます。単体のギターコード譜ならタブレット1画面に収まりますが、バンドスコアでは16小節ごとにページをめくらなければならず、「iPadの画面サイズ(10〜11インチ)では5段並んだTAB譜の数字が米粒のように小さくて老眼や暗い照明下では読めない」「本番中にBluetoothペダルの接続が切れて譜めくりができなくなり、頭が真っ白になって演奏が止まった」といった現場の悲鳴がSNS上で数多く共有されています。結果として、「個人練習や持ち運びは電子楽譜アプリで行い、スタジオの最終リハーサルではA3サイズに拡大コピーして横に貼り繋げた紙の譜面を使う」というハイブリッド派が、実践派プレイヤーの間で最も支持を集めています。