当時、モデル出身の若手として注目を集めていた坂口健太郎。だが、『とと姉ちゃん』で彼が見せたのは、単なるルックスの良さに依存しない、確かな表現力だった。眼鏡の奥にのぞく純粋な瞳、言葉に詰まりながらも想いを伝えようとする手指の動き。星武蔵という不器用な青年を、彼は生き生きとした人間としてカメラの前で立ち上がらせた。
単なる「塩顔男子」のブームにとどまらない深みが、そこにはあった。過剰な身振りを削ぎ落とし、沈黙や間合いで感情の機微を表現するスタイルは、視聴者だけでなく劇評家たちからも高く評価された。星武蔵が画面に現れるだけで、物語の空気が一変する。その圧倒的な説得力が、彼の役者としての評価を決定的なものにした。