坂本慎太郎の現在地を解剖:世界が熱狂する孤高の音像と新境地にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

映画やドラマの劇伴・主題歌制作においても、彼の記名性は圧倒的だ。映画『まほろ駅前多田便利軒』で見せたどこかやるせなく愛おしい空気感は、彼の音楽なくしては成立し得なかった。日常の哀愁とオフビートなユーモアを同時に鳴らすその手腕は、映像作家たちを惹きつけてやまない。

さらに、アニメーション映画『音楽』では、主人公・研二の声優を務めるだけでなく、作品全体に通底するプリミティブなロックの初期衝動を体現した。劇伴作家としての坂本は、単に映像を盛り上げる装飾音を作るのではない。映像そのものの質感を変質させ、観客の無意識に潜り込むような音の装置を組み上げる職人なのだ。