歴史的価値の高まりとともに、市場には「龍馬の未公開写真」と称する怪しげな古写真が幾度となく浮上してきた。長崎の風景を背景にした集合写真や、謎の武士が写ったガラス板がオークションを賑わせるたび、真贋をめぐる論争が巻き起こる。
現在、古写真鑑定の現場では、単なる印象論や伝承に頼る鑑定は一切行われない。耳介(耳の形)の軟骨構造、瞳孔間距離、顔面骨格の比率をアルゴリズム解析する生体認証技術が導入されている。さらに、ガラスの成分分析、コロジオン乳剤の化学的劣化パターン、台紙のパルプ繊維の年代測定を組み合わせ、幕末・維新史の科学的検証が行われている。本物の龍馬写真は、後世の贋作がどれほど精巧であっても決して再現できない、唯一無二の化学的指紋を保持しているのだ。