製作幹事として関わった日本テレビ放送網の強力なバックアップを受け、本作は興行収入58億円を超えるメガヒットを記録した。しかし、興行的な成功以上に重要なのは、本作が日本のアニメーション産業に与えたテーマ面での革新性である。
『バケモノの子』は、血縁によらない疑似家族の絆を描くと同時に、「悪意のない善意が子どもを追い詰める危険性」というタブーに踏み込んだ。猪王山と一郎彦の関係は、教育や子育てにおいて過保護や事実の隠蔽がどのような歪みを生むかという、現代的な家庭問題の暗喩でもある。善悪二元論を脱却し、傷ついた若者のメンタリティを抉り出した本作のシナリオ構造は、後続の劇場用アニメ作品に計り知れない影響を与え続けている。