建設現場の第一線で今なお頻発しているのが、元請けや協力会社からの「忙しいからダンプと運転手つきで1日応援に来てほしい」という依頼です。業界内では長年「常用(じょうよう)」や「人工出し(にんくだし)」と呼ばれてきた商慣習ですが、ここに極めて深刻な法的トラップが潜んでいます。
実例として、建設業の許可を持つ土木業者が、自社の白ナンバーダンプに乗って他社の解体現場へ赴き、解体ガラや残土の処分場搬出作業を行ったケースを検証します。この際、請求書の名目を「重機オペレーター応援費」や「土木作業費」として発行し、1日あたり3万円の常用単価で処理していたとしても、行政指導や警察の取り調べでは書面の名目は一切考慮されません。
「朝から夕方まで何往復トラックを走らせて土砂を運んだか」「その作業の本質が運搬であったか」という実態に基づいて判断され、貨物自動車運送事業法違反(無許可営業)として立件されます。白トラ行為に対する罰則は非常に重く、行為者には3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはその両方)が科され、車両の使用停止処分や建設業許可の取消・営業停止処分へと直結します。さらに、運送を発注した側の元請け業者も「無許可業者への運送委託」として処分や社会的信用の失墜を免れません。