では、肌に直接塗るコスメはどうなのか。化粧品産業において、この成分は強力な紫外線散乱剤として欠かせない主役であり続けてきた。紫外線を物理的に跳ね返し、肌を光老化から守る盾となるからだ。
懸念の焦点は、白浮きを抑えるために極小化されたナノマテリアルの挙動にある。粒子がナノサイズ(100ナノメートル以下)にまで細分化されると、皮膚のバリア機能を突破して血流に乗るのではないかという不安が消費者の間で広がった。
これに対し、アメリカ食品医薬品局(FDA)や各国の皮膚科学会は、健全な角質層が存在する限り、ナノ粒子が真皮深層まで浸透する可能性は極めて低いとの見解を一貫して維持している。ただし、スプレー式の日焼け止めやルースパウダーのように「吸入の恐れがある製品」については話が別だ。微粒子を肺の奥深くまで吸い込むリスクに対しては、国際的にも厳しい制限が課され始めている。