敗血症を巡っては、インターネットやSNS上で医学的根拠に乏しい言説が散見されます。命を落とさないために、以下の代表的な誤解を是正しておく必要があります。
誤解①:「敗血症は高齢者や持病のある人だけの病気である」
これは完全な誤りです。確かに高齢者や糖尿病、がん治療中、免疫抑制剤を使用している患者はハイリスクですが、健康な20〜40代の若年層であっても発症します。インフルエンザ感染後の重症細菌性肺炎や、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(いわゆる人食いバクテリア)、急性虫垂炎の穿孔、腎盂腎炎などを契機に、健康そのものだった若者が数日で敗血症性ショックに陥る例は後を絶ちません。
誤解②:「市販の風邪薬を飲んで家で寝ていれば、いずれ峠を越す」
市販の感冒薬や解熱鎮痛剤は、一時的に熱や痛みを緩和する対症療法に過ぎず、体内で増殖する細菌を殺す力はありません。むしろ解熱剤によって「重篤な感染症のサイン」がマスキングされ、病院へ行くタイミングが半日遅れた結果、取り返しのつかない多臓器不全に至るケースがあります。
【プロの結論】迷わず救急医療を求めるべき「受診の判断基準」
感染症を疑う状況(高熱、ひどい咳、激しい腹痛、排尿時痛など)がある中で、「呼吸が明らかにいつもより速い」「会話のつじつまが合わない」「顔色が土気色で手足が冷たい」「尿が半日以上出ていない」という兆候が1つでも見られた場合、明日の朝まで待つという選択肢は存在しません。夜間休日であっても迷わず救急外来を受診するか、救急車(#7119の救急安心センター相談等を含む)を要請することが、命をつなぎとめる唯一の境界線です。