科学的知見の蓄積に伴い、国際機関も重い腰を上げた。世界保健機関(WHO)はガイドラインにおいて、遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満、さらなる健康リスク低減のためには5%未満(ティースプーン約6杯分・約25g)に抑えることを強く推奨している。日本においても厚生労働省が生活習慣病予防の観点から糖類摂取の適正化を促しているが、現実の食生活でこの数値を下回るのは至難の業だ。
なぜか。巨大な食品・飲料業界が、消費者の「至福点(Bliss Point)」と呼ばれる中毒的な配合比率を巧みに利用し、ありとあらゆる製品に糖を添加しているからだ。利便性と保存性、そして何よりリピート購入を促す甘味の魔力。産業界の経済的利益と公衆衛生の対立は、今なお激しい情報戦の様相を呈している。