かつてドライブインとして賑わっていた時代は、ラーメンや各種定食など多彩なメニュー表が壁一面に掲げられていました。しかし現在のかに太郎のメニューは実質「かにめし(500円)」一択となっています。
店内の年季が入ったカウンターや小上がりに腰を下ろし、注文を伝えて待つこと数分。運ばれてくるお重の蓋を開けると、甘辛く丁寧に炊き上げられた筍と椎茸、そしてほぐした蟹の身がご飯の上に敷き詰められています。
一口運ぶと、素朴でありながら奥深い出汁の風味が口いっぱいに広がります。贅沢に蟹肉の塊を頬張る高級割烹のスタイルとは異なり、昭和の北海道の家庭や街道沿いの食堂で親しまれてきた、どこか懐かしく温かい味わいです。添えられる自家製の漬物や素朴な味噌汁も、長年の経験が染み込んだ優しい味付けで、訪れる人の胃袋と心をじんわりと満たしてくれます。