テレビの世界において、彼の真骨頂が発揮されたのは間違いなく骨太な時代劇だった。年末時代劇スペシャルの金字塔『白虎隊 (1986年のテレビドラマ)』で見せた、激動の幕末を生きる武士の悲哀と矜持。あるいは、NHK大河ドラマの名作『翔ぶが如く (NHK大河ドラマ)』において、西郷隆盛や大久保利通ら維新の英傑たちの間で独自の立ち回りを演じたあの渋い演技は、今なおオールドファンの語り草だ。
決して主役の座を奪い取るような出しゃばり方はしない。だが、彼が画面の端に立っているだけで、作品全体のリアリティと歴史の重みがぐっと増す。滑稽な町人から冷徹な幕臣まで、自在に姿を変えるカメレオンのような演技力は、娯楽時代劇が黄金期を誇っていた時代の確かな屋台骨だった。