『ヒロイン』の誕生には、バンドのキャリアにおける大きな転換点と、過酷なクリエイティブの葛藤が存在していました。作詞作曲を手掛けた清水依与吏は、当時のインタビューや音楽専門誌の取材において、冬の大型タイアップに向けたプレッシャーと対峙した生々しいプロセスを明かしています。
2014年冬、若手俳優の登竜門として社会現象を巻き起こしていた「JR SKISKI」のCMソングオファーを受けたバンドは、名プロデューサー・小林武史との共同制作に踏み切ります。ストリングスとピアノを大胆にフィーチャーしたアレンジは、back numberの持ち味である骨太な3ピースのバンドサウンドに、洗練された哀愁のレイヤーを付加しました。
当時、CMのメインキャストに抜擢されたのは若干16歳だった広瀬すず。「答えは雪に聞け。」というキャッチコピーと共に、ゲレンデで雪にまみれながら切ない視線を投げかける彼女の映像と、『ヒロイン』のエモーショナルなメロディは完璧な化学反応を起こしました。CM放映開始直後から問い合わせが殺到し、オリコンシングルランキングで初登場上位を記録。冬の情景とバンドの叙情性が完全にリンクした瞬間でした。