B型肝炎訴訟の実務において最大の難関となるのが、「昭和の古い医療記録や母子手帳が見つからない」という証拠収集の壁です。医師法上のカルテ保存期間は5年であるため、昔通院していた医療機関ですでにカルテが廃棄されていたり、病院自体が廃院していたりするケースが少なくありません。
厚生労働省のガイドラインおよび裁判所の和解基準では、カルテが存在しない場合でも代替証拠による立証が認められています。
例えば、母子手帳がない場合の代替手段としては以下の書類が有効です。
・市区町村が保管する予防接種台帳(原本証明付きの写し)
・小学校の健康診断票(学籍簿の写し)
・母子手帳紛失に関する陳述書に加え、接種痕(BCGや種痘痕)の医師による鑑定書
また、母親がすでに他界しており母子感染でないことの証明が困難な場合でも、兄や姉など年長のきょうだいの血液検査(HBc抗体など)を行い、母親が非キャリアであったと推定する医学的手法(遺伝子型検査・ジェノタイプ判定など)を用いて立証をクリアした事例が多数報告されています。