「熱心に喉をゆすいでいるのに、なぜか喉がヒリヒリ痛む」――その原因の多くは、うがいのしすぎによる逆効果にある。人間の喉の奥(咽頭・喉頭)は、常に適度な湿り気を帯びた粘膜と、そこで分泌される粘液によって守られている。この粘液には、侵入したウイルスや細菌を絡め取って排除する「線毛運動」を助ける役割や、免疫物質である分泌型IgA抗体が含まれている。
さらに、口腔内や咽頭部には無数の常在菌が生息している。これらの善玉菌が一定のバランスを保つことで、病原菌の過剰な増殖を防ぐバリア機能を果たしている。しかし、過剰な頻度でうがいを繰り返すと、保護膜である粘液やIgA抗体が洗い流され、デリケートな粘膜組織が剥き出しになってしまう。
バリアを失った喉は外気や摩擦の刺激に極めて弱くなり、うがいのしすぎによる喉の痛みや炎症を誘発する。結果として、病原体をブロックするはずの喉が自ら無防備な状態へと陥り、感染リスクを高めてしまうのだ。