一連の海賊楽曲の成功は、ウォルト・ディズニー・カンパニーが長年培ってきたメディアミックス戦略の集大成でもある。テーマパーク産業において、アトラクションから映画が生まれ、その映画の大ヒットを受けてパークの演出がさらにアップデートされるという循環モデルは、当時極めて画期的だった。
現在、世界のディズニーパークにある「カリブの海賊」では、映画のオーケストレーションとクラシックなアトラクション楽曲が見事な音響レイヤーとして再構築されている。没入型エンターテインメントの真髄は、視覚以上に聴覚のコントロールにある。ゲストが船に乗り込んだ瞬間、水しぶきと共に鳴り響く音の波は、五感すべてを物語の渦中へと引きずり込む緻密な計算に基づいているのだ。