歌詞の中核を担うのが、「僕」と突如現れた「君」との対比関係です。この「君」が一体何を象徴しているのかについては、長年リスナーの間で議論が交わされてきました。
歌詞中盤、「そんな僕を置いて 月は沈み陽は昇る」「けどその嫌いを拭うように 君が手を引く構造だ」とあるように、「君」は時間を止めることのできない冷酷な世界の中で、立ち止まる主人公の手を無理やりにでも引いて前へ進ませてくれる絶対的な救済者として現れます。主人公にとって「君」は、暗闇に差した唯一の光であり、世界そのものでした。
しかし、物語は単なる甘い救済では終わりません。楽曲のクライマックスで放たれる「願ったんなら叶えてしまえや」という激しい言葉は、誰が誰に向けて放ったものなのでしょうか。
文脈を綿密に分析すると、これは「君」が主人公に残した痛烈な叱咤激励であると同時に、主人公自身が自らの甘えを断ち切るために胸の内で叫んだ「自己決別の言葉」でもあります。誰かに手を引かれて歩む未来ではなく、自分の足で願いを叶えに行かなければならない。主人公は「君」の手を握りしめ続けること(依存)をやめ、手を離して一人で歩き出す道を選びます。それが「君の未来を奪う」ことのない、唯一の愛の形だったからです。