つげ義春が長年暮らしている拠点は、東京都調布市です。多摩川の河原に近い閑静な住宅街に居を構え、かつての名作『無能の人』で描かれた多摩川の風景を彷彿とさせるこの地で、半世紀近くにわたり生活を続けています。
現在の生活を全面的に支えているのが、一人息子であるつげ正助氏の存在です。正助氏は父の日常生活のケアにとどまらず、著作権の管理窓口や出版社とのやり取り、展覧会の企画監修といったマネジメント業務を一手に担っています。
かつては近所の散歩や多摩川沿いの散策が日課となっていましたが、現在は外出の頻度を控えめにし、息子や親しい関係者に見守られながら、穏やかな日常を守り続けています。隠遁と称される暮らしぶりは、決して世捨て人の孤独ではなく、家族の深い愛情に支えられた平穏な境地といえます。