耳介の上部軟骨を貫通する通常のヘリックスが「面」に対して水平に飾るものだとすれば、アンテナヘリックスは耳の輪郭から「垂直」に突き出す構造美を持つ。かつてはアンダーグラウンドなボディモディフィケーション愛好家の領域だったこのスタイルが、なぜここまで一般的な若年層に浸透したのか。
原宿のストリートで出会った服飾専門学生の女性(19)は、「Instagramのリールで海外のインフルエンサーを見て一目惚れした。マスクを外す機会が増え、髪をかき上げた瞬間にチラリと見える縦のラインが圧倒的に可愛い」と語る。彼女の耳元には、精密に立てられたバーベルが誇らしげに輝いている。
YouTubeではセルフピアッシングの手順を解説する動画が数百万回再生を記録し、まるでメイクの延長であるかのように手軽なイメージが拡散されている。しかし、画面越しに見る手軽さと、軟骨という硬い無血管組織を貫く行為の間には、見過ごせないギャップが存在する。